器と道具

吉正の鮨
器と道具
空間
福井の伝統工芸品

日常に溶け込む美術品

福井の豊かな食文化を支える美しい伝統工芸品の数々。
その美しさもさることながら、暮らしの中に根付く日用品として福井の人々のいつも身近にあるもの達です。

鮨を彩る器と道具

独創的な
器が彩る
Original Vessel

福井の錚々たる職人の技が集結したオリジナルの器たちは、鮨と並ぶすし吉正の主役です。
美しさと遊び心が散りばめられた伝統工芸品に触れてお愉しみください。

越前焼

陶房遥(とうぼうはるか) 吉田信介氏の器は、繊細な中にもあたたかな表情を見せるのが特徴です。野球のスコアボードを模した皿などは、遊び心と食事シーンへの愛に溢れた氏ならではの作品で、お客さまからはいつも歓声のあがる一皿です。

泰陶房(やすとうぼう)服部泰美氏の作品は、目の前の自然をそのまま切り取ったようなおおらかさがあります。三国の海の色を表現した酒器で呑む地酒の美しさは、福井を訪れた価値を何倍にも膨らませてくれます。

越前漆器

漆琳堂 創業230年。8代目当主・内田徹氏の肝入りの汁椀はいつも話題の中心です。

伝統工芸の職人は、優秀なデザイナーでもあります。 漆黒の本漆に伝統柄の「つぼつぼ」の蒔絵、その中に紛れ込ませた野球ボールや金メダル、蓋を開ければ、オーナーのピクトグラムが目に飛び込みます。

伝統の技と遊び心のバランスが絶妙なのは、若手ながら国家資格である伝統工芸士の看板を背負う者の底力と、クライアントが求めるものの、その「もう一歩先」の喜びや感動を提供しよう!との、代々受け継がれた名家の心意気の賜物でしょうか。

若狭塗

若狭小浜の伝統工芸品、若狭塗箸。海の底をイメージしたとされる伝統的なデザインと工法には約400年の歴史があります。すし吉正の箸は、革新的な取り組みを精力的に行っている箸蔵まつかんの4代目・松本啓典氏の推し、若手伝統工芸士の古川勝彦さんの作品です。数々のおしゃれな箸の中でひときわ目を引く伝統の輝きは、誰の目にも歴然とした違いを見せつけてくれます。

「2年以上前にオーダーしてまだ出来上がってこない箸があるんですが、大事に使ってくれるならお分けしましょう。」と、出来上がりを待ちに待ちに待ちに待って、納入してくださいました。貝殻や卵の殻、松の葉を埋め込んだり貼り付けた木地に何色もの漆を塗り重ね、〝研ぎ出し〟という技法で独特の模様を浮かび上がらせた箸は、その先がどこまで続いているかわからなくなるような錯覚を起こさせます。まさに海の底のような、宇宙のような箸。目の前の松の盆栽を愛でながら、松葉の箸でつまむ鮨。福井ならではの一興ではないでしょうか。

硝子

福井在住のガラス作家 えむにさん。とにかく人気作家で入手困難な器は、一目見て「はっ♡」と目がハートになる女性のお客さまもちらほらいらっしゃいます。繊細かつ、生き物のような、呼吸を感じるような生きた作品は、お酒ややわらぎ水を提供する際に用いています。もっと作品を分けていただけるように、良い店にしたいと思わせてくれる硝子です。

越前打刃物

日本の名だたる鮨の名店の職人、世界の料理人がこぞって求める越前打刃物の伝統工芸士、「黒崎打刃物」の黒崎優氏の包丁の存在感は無機物とは思えません。 切れ味はもちろんのこと、そのデザイン、存在は唯一無二です。刀のような包丁の存在は、カウンターに結界を張っているかのような特有の「気」を発しています。世界中の人々を虜にする、その霊力を帯びたようなギラリと光る包丁は、魚と職人に何か特別な力を与えているようです。